示談とは、対立関係にある当事者が、裁判によらずに自主的に紛争を解決することをいいます。
法律上の用語である「和解」とほぼ同義語です。
和解とは、民事上の争いについて、当事者が互いに譲歩しあってその争いを止める合意をすることをいい、契約の一種です。
多大な費用や時間を要する「裁判」での決着よりも、迅速・円滑な解決が図りやすい「和解」の方が、主要な解決手段として重要な役割を果たしています。
裁判上の和解と、裁判外の和解(私法上の和解)の2種類があります。
「和解」という用語には、双方が譲歩して解決するという意味合いを持ち、民事上の問題に使用されますが、「示談」という用語は、いずれか一方の要求に対して相手方のみが譲歩して応じる、という意味合いも含まれ、刑事事件などの場合に多く使用されます。
示談書の効力というのは、契約書の効力と同じ意味を持ちます。
@合意成立の意思確認という効力
示談書を作成することにより、確かに合意が成立したこと、および、履行意思があることを確認する効力があります。
A履行内容に関する手引き書としての効力
支払日や支払方法、その他の義務の履行について、具体的な手引書となるため、確実な履行を期待することが出来ます。
B紛争を防止する効力
示談の存否に関する争いを防止し、不要なトラブルを回避することが出来ます。
C証拠能力
万が一、合意の存否について争いが生じたり、不履行が発生した場合には、有力な証拠となります。
示談というのは契約の一種ですから、法律上は口約束でも有効に成立しますので、示談書を作成する法的な義務というものはありません。
ただし、示談書が無い場合、将来的に、不法行為の事実や示談金額、その他の約束について、トラブルが生じても、示談が成立したことを証明する術がありません。
例えば、不倫された側としては、不倫相手から「支払ったが、金額が高過ぎたので返金して欲しい」「良く考えたら不倫をしてないから支払わない」等と言われても困ります。
また、支払った側としても、受け取った側から「貰った金額では足りないから、あと●●万円支払って欲しい」「離婚したから、その分を別途に請求する」等と追加請求されても困ります。
よって、示談書には、お互いに、将来的なトラブルが生じないよう、予防するという目的があり、とても重要なものなのです。
また、示談書へ自宅住所を記載することを心配する方がおりますが、自宅住所を記載したくない(知られたくない)という場合、示談書というものは、必ずしも自宅住所を記入しなければならないものではありません。
当事者双方が合意するのであれば、氏名のみの署名捺印でも構いません。
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原因事実不法行為に対する損害賠償であるからこそ非課税となり、所得税や贈与税が生じないのです。 また、仮に夫婦間においても将来的に離婚に発展した場合でも、慰謝料であれば、財産分与における共有財産から除外されるのです。 |
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慰謝料に関する定めまた、分割払いの場合は、仮に遅延や不払いが生じた場合に残額を一括で請求することができるよう、「期限の利益喪失」条項を定めておくことも大切です。 その他、離婚した場合の追加賠償金額を予め定める場合や、離婚して不倫した2人が交際継続となる場合には「連帯債務」として定めたりする場合もあります。 |
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私的接触の禁止特に勤務先が同じである等の事情が場合などは、業務上必要止むを得ない場合を除き、私的な交流や連絡を禁止しておくことが大切です。 電話やメール、面会その他の私的な接触をしない旨の誓約を明記した上で、その誓約の実効性を図るために、違反した場合の罰金の定めをしておきます。 |
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求償権・負担割合に関する定めいずれか一方のみが慰謝料を支払った場合、理屈上、支払った側は、もう一方の共同不法行為者に対して、責任に応じた負担(支払った慰謝料の半額など)を求めることが出来る余地が生じますし、受け取った側も、支払っていないもう一方の不法行為者に対して慰謝料請求することが可能です。 そのため、示談成立後に話が蒸し返しになるなど、トラブルが生じないよう、求償権や負担割合についての取り扱いを明記しておきます。 |
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口外・漏えいの禁止そのため、相互に、不倫の事実や示談書の内容につき、ブログやSNSその他方法の如何を問わず、第三者に口外・漏えいしないという「守秘義務」条項を明記しておくことも重要です。 また、必要に応じて、個人情報や写真その他のデータの抹消などを定めておく場合もあります。 |
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清算条項そのため、後々でトラブルが生じないよう、お互いに、示談書に記載し以外は、名目のいかんを問わず、何らの権利も義務も無いということを確認するための条項が「清算条項」です。 |
実務上、慰謝料を支払ったのに示談書が届かない等のトラブルにならないよう、事前に双方が署名捺印した示談書を取り交わし、確認出来てからの送金という段取りで進めることが一般的です。
その他、長期分割払いでの示談合意の場合には、強制執行の可能な公正証書として作成する場合もあります。
示談書は、表題の如何によらず、印紙税法に定める「課税物件」に該当しないため「不課税文書(非課税文書ではありません)」となります。
※和解書、合意書、協定書、その他
よって、仮に損害賠償額の記載があったとしても、原則として収入印紙は不要です。
ただし、損害賠償の方法が、金銭ではなく、不動産や無体財産権又は営業譲渡などである場合には、別表第一に定める「第1号文書」となり、収入印紙を貼らなければなりません。