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肉体関係を伴わないプラトニックな恋愛関係の場合、法律上の「不貞行為」ではありません。 しかし、不倫に対する慰謝料請求権の根拠は、判例上、「夫婦一方が相手方に対して有する貞操権の侵害」と「平穏な夫婦関係の破壊」とされています。 そのため、仮にプラトニックな恋愛関係であっても、社会通念上の許容範囲を逸脱し、夫婦関係の平穏を侵害している場合と認められる場合には、不法行為として慰謝料の請求を認めた裁判例があります。 |
平成15年3月25日 東京簡易裁判所 判決 |
要旨 「被告とAとの間に肉体関係があったことを認めるに足りる証拠はないが,被告とAとの交際の程度は,数万円もするプレゼントを交換するとか,2人だけで大阪まで旅行するなど,思慮分別の十分であるべき年齢及び社会的地位にある男女の交際としては,明らかに社会的妥当性の範囲を逸脱するものであると言わざるを得ず,恋愛感情の吐露と見られる手紙を読んだ原告が,被告とAとの不倫を疑ったことは無理からぬところである。 被告のこれらの行為が,原告とAとの夫婦生活の平穏を害し原告に精神的苦痛を与えたことは明白であるから,被告は原告に対し不法行為責任を免れるものではない。」 【慰謝料認定額】10万円 |
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平成17年11月15日 東京地方裁判所 判決 |
要旨 「原告(夫)は妻からAと交際しており結婚しようと思っていると告げられ、肉体関係を結んだとまでは認められないが、互いに結婚を前提に交際した上、被告は原告に対して結婚させて欲しい旨懇願し続け、その結果、妻は家出して別居となり、離婚するに至ったものであり、肉体関係がない場合であっても、第三者が婚姻生活を破壊したと評価できれば違法たり得る。」 【慰謝料認定額】70万円 |
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平成26年3月 大阪地方裁判所 判決 |
要旨 「被告(同僚女性)が原告の夫のアプローチをはっきりと拒絶せず、逢瀬を重ねて二人きりの時間を過ごしたことは、社会通念上、相当な男女の関係を超えたものと言わざるを得ない。 家庭内で問題を抱える夫に無謀な期待を抱かせたものであり、被告(同僚女性)の態度と、夫の妻(原告)への冷たい態度には因果関係がある。 よって、被告は原告に対し、不法行為による損害賠償義務を免れないというべきである。」 【慰謝料認定額】44万円 |
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